消えたレコードを追い求めた話「リトル・ダーリン」前編


ダイアモンズの「リトル・ダーリン」日本盤(昭和37年11月発売)
ディスク・プラザで付いていた値段は、2000円でした。

中学3年の夏休みに入ったばかりの
暑くて晴れた日、祖母の家(母方の実家)へ
向かう途中の私は、横浜市営地下鉄の関内駅で降りて、
馬車道にあった中古レコード屋(ディスク・プラザ)に
寄り道しました。

そこで、上の写真にあるザ・ダイアモンズの
「リトル・ダーリン」を見つけ、
思わず飛び上がって喜んだのを今でもよく覚えています。
1980年代中頃のことです。

この話はもう少し前、小学3年生だった時に始まります。

祖母の家には、母が初めての賞与で買ったという
日本コロムビアのセパレート・ステレオ(プレーヤー、アンプ、
チューナー、スピーカー等が一体になっていて、
横長の家具調になっている)がありました。
そのステレオ本体には、ふたを開けて上から入れる
「レコード収納部」があって、
枚数の少ない最初のうちは、その中にレコードを入れていたそうです。

しかしながら、奥に小さな隙間が開いていて、
7インチ(ドーナツ盤サイズ)のレコードは、
入れると下に落ちてしまうといい、ある程度の枚数が
既にステレオ本体の中にあるといいます。

家族で祖母の家に行っていた(私が小学3年生だった)
日曜日の昼、私が知らぬ間に、母がステレオ本体の裏を
ドライバーで開け、落ちたレコードを取り出し、
それを私に知らせました。
20枚位だったでしょうか、埃まみれで積み上がった状態の
7インチのレコードが、テーブルの上に
置いてあったのを見て興奮しました(笑)

母だけのではなく、母の兄弟(私から見れば叔父)のレコードも
入っていたそうですが、私にとっては、まぁ全部が
未知なレコードです。
洋楽は2、3枚だったかも知れません。
相当長い年月が手つかずのまま残されていたと思われる、
これらのレコードを聴いてみて、
とても気に入った1枚が、そのザ・ダイアモンズのレコードでした。


写真のは、この時目にしたマーキュリー・レーベルの日本盤です。
ずっと後になって新宿で買い求めたもので、6千円位はしていたと思います。
昭和32年6月に日本のキング・レコードから発売。

A面の「リトル・ダーリン」、B面の「ディン・ドン」とも
面白くて、両方ともに2分ほどの短い曲ですが、
何度も何度も繰り返し聴いて楽しみました。

その日は日曜日ですから、夕方帰る訳です。
「5時には出るから、それまでに帰り支度をしておきなさい」
と母に言われ、ひとりで2階に行って片づけるのですが、
その時、頭の中に声が聞こえて来たんです・・・
スピリチュアルな話なので、信じられない方も
いらっしゃると思いますが(苦笑)
その頃は、私自身も声の正体は判ってません。

何が聞こえているかというと
「あなたが大切にしているレコードは、隠しておきなさい」
と言うのです・・・
「えっ?」と思うのですが、
同じようなメッセージが繰り返し聞こえて来たんですね。

でも、それが何を意味しているのか、
子供の私にはさっぱり理解できませんでした。
で、とりあえず、そのザ・ダイアモンズのレコードだけ、
ステレオのある部屋の隣の部屋のサイドボード
(グラスなどが入っている横長の食器棚)の下に
置いてみました。
着替えなども全部バックに入れて、もう帰る準備が出来た頃、
「リトル・ダーリン」と「ディン・ドン」のメロディーが私の
頭の中で何度も再生され・・・また聴きたい!
と思っていました。

約束の5時少し前になりましたが、母達は
まだ祖母と話したり、支度をしていたため、
私はその間に、まだレコードを聴いていたいと2階に行き、
サイドボードの下に隠したザ・ダイアモンズのレコードの
“レコード盤だけ” を取り出して、かけ始めて聴いていました。

5時が過ぎ、下から大声で私を呼ぶ母の声が聞こえ、
私は慌ててステレオの電源を切り、
レコードを “ターンテーブルに乗せたままの状態” で、
帰ってしまったのです・・・

それから約3週間か、1か月位は経っていたでしょうか。
土曜日に、また家族で祖母の家に行きました。
私はザ・ダイアモンズのレコードが頭から離れませんでした(笑)
やっと聴けると楽しみに、さっそくステレオの
ふたを開けてみると、乗せたままに
しておいたはずのレコードは無くなっていました。
「あれっ???・・・」

隣の部屋に行き、サイドボードの下をかがんで見たら、
ザ・ダイアモンズのレコード・ジャケットは、
手つかずに残っていました。
でもレコード盤は入っていません。
この家には祖父と祖母しか住んでいないし、他に
ステレオを触る人はいないはず、なんですね。

ステレオのレコード収納部にも、もちろん
何も入っていないし、レコードをまとめて入れてあった
“レコードの扉付きの棚”をみたら・・・
洋楽のレコードの何枚かが(もともと洋楽は少なかったのですが)
消えていたのです。

祖母と祖父に、そのことを伝えてみると
「知らない」と言います。
横で聞いていた母も、私以外には触る人などいないのだから、
私の勘違いではないかと言うのですけれど、
自分の記憶をたどっても、確かにターンテーブルに乗せたままです。

祖父と兄弟が一緒に探してくれましたが、
他の所にレコード盤なんか出てくるはずもありません。
父と母と祖父に「そもそも何で、このレコード・ジャケットを
サイドボードの下に置いて帰ったのか?」と尋ねられても、
私は返答に困りました・・・大切なレコードは隠すように
声が聞こえていたなんて言えないし(笑)

結局、私の勘違いなのだろう、
ということにされ、私の頭の中は「?」で
いっぱいになっていました(大苦笑)

そして、その日の夜、
祖母が思い出したように言いだしたのです・・・

(中編に続く)

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です