消えたレコードを追い求めた話「リトル・ダーリン」中編

(前編からの続き)
祖母が思い出したのは、3週間から1カ月近く前に
私達が帰った翌日(月曜日)の昼間、
身内の事情で疎遠になっている従兄(私からみて)が
突然、遊びに来たことでした。
祖父がいるとトラブルになるので、いない時間帯を狙って
来たと思われますが、彼一人では初めて来た訳で、
祖母にとっても予期しない訪問です。

その時、彼は祖母にレコードの袋がないか?
というようなことを尋ねたらしく、
祖母には何のことを言っているのか分からなかったそうですが、
私の一件で、それが
“私の隠したレコード・ジャケットだった”
ことに祖母は気づいた訳です。

それで、帰り際に何枚かのレコードを持って帰っていいかと
尋ねられたのを思い出したと私に言いました。
祖母は気にもせず「いいよ」と言ったそうですけれど、
何を持って帰ったのかは判らないというのです・・・

でも、それが無いということは、
その従兄が持って行ったに違いありません!
私は落胆しました。
ここで初めて、
「あなたが大切にしているレコードは、隠しておきなさい」
とアドバイスされた意味が分かりましたが、時既に遅し。

その従兄は、私よりも12、3歳年上ですから、
当時20か21歳頃だったでしょうか。
「返して欲しい」と言えば返してくれるような人なら・・・

私は諦めきれず、母にこのレコード・ジャケットを見せて、
どこかで手に入らないかと尋ねました。
このレコードは、母が10代の頃に伊勢佐木町のレコード店で
買ったそうで、もう売ってないだろうと・・・
まぁそうでしょうねぇ・・・私が当時、近所のレコード屋さんで
600円出してシングル盤を買ってたのに、
このレコードジャケットには350円と印刷されてますから・・・


母が買ったこのレコードは、日本のキング・レコードから
昭和32年6月に発売されていますが、母の年齢を考えると、
発売から何年か経って購入しているようです。



こちらは、内容もレコード番号も同じレコードですが、
タイトルの表記が英語になっています。普通は日本語表記で、
ごく初期の頃に作られた分だけ、英語表記なのです。

ちなみに、昭和32年6月分として当時に発表された
EP盤(ドーナツ盤サイズ)の順位を見てみると
10位に入っていますから、かなり売れたレコードだったことが判ります。
中古レコードの市場で需要と供給のバランスが、あるのかも
知れませんけれど、それだけ売れたのであれば、
珍しくはなかったのでしょうね(苦笑)

以下は、販売店ごとの順位です。
東京・銀座の「山野楽器」では8位
横浜は伊勢佐木町の「ヨコチク」では3位になってますね。

さて、話を戻します。
我が家では本も含め「中古」を買うのは当時
禁じられていて、中古レコードも買っては駄目だと
言われていました。
近所のレコード屋のおじさんに、
このレコード・ジャケットを見せて、ザ・ダイアモンズの
「リトル・ダーリン」と「ディン・ドン」の復刻盤がないか
探してもらいましたが、当時は出ていませんでした。
もう諦めて、またいつか・・・と願うしかありません。

それから、しばらく経ち、
何とテレビから何処かで聞いたことのあるメロディーが・・・?
ザ・ダイアモンズの「リトル・ダーリン」が、
テレビ・コマーシャルに使われ始めたのです!

“あぁ、そんなレコードを探してたっけなぁ・・・”と思う日々。

ある日、近所のレコード屋さんに行った時、
何気に目に入った「CМ」と書かれた「レコードのコーナー」を
見てみたら、あったじゃないですか、復刻盤が!
レコード屋のおじさん、私の顔を見て
「あー、リトル・ダーリンか!」って言いながら
思い出したみたいな感じでした(笑)
このレコード屋のおじさん、多分、私の父親と同じくらいの
年齢なんじゃないかと思います。


コダック社のイメージ・ソング第4弾として
1981年夏のキャンペーンに使用されたと書かれています。
昭和56年6月か、7月頃に発売されたようです。
発売元は、日本フォノグラム。B面が「ディン・ドン」でないのが残念。

1957年当時は、日本のキング・レコードが
アメリカのマーキュリー・レコードの販売権を持っていました。
つまり、私が最初に目にした(母が買った)日本盤が、
日本国内で最初に発売された「リトル・ダーリン」です。
結論を先に書いてしまうと、レコードのプレス技術がまだ
あまり向上されていないことを含めても、
このキング盤が、音質としては一番良いです。

その音質を耳にしていて、2番目に手に入れた
上記、1981年に日本フォノグラムから発売された
このシングル盤は、テープが既に劣化しているのか、
あるいは何度もダビングを繰り返したマスターなのか、
全体的に整ってはいるものの、大人しいといいますか、
あまりパッとしない感じの音でした。

(後編へ続きます)

 

 

 

 

 

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